
ホットフラッシュでのお悩み、暑くも無いのに顔が赤くなったり、汗が止まらなくなったりと、自分の体がコントロールできない感覚に戸惑うことも多く、公共の場などで突然の発汗が起こり、周囲の視線を感じて恥ずかしい思いをすることもあります。仕事中や外出中に症状が出ることがあり、集中力や活動性が低下したり、予定が変更になったりすることがあります。なぜこのような症状が出るのか、原因がはっきりしないため不安に感じることもあります。
更年期のホットフラッシュ、頭痛、眠りの浅さ、便秘などが漢方薬服用3ヶ月で解消
40代 女性
夏頃から、首から上が熱くなり、汗をかくホットフラッシュが気になるようになったとのことでご相談いただきました。動くと汗をかきますが、汗は主に首から上に集中し、手足は冷えているのが特徴です。ホットフラッシュは10~15分ほど続くことがあり、今年の夏は仕事先が変わったことによる環境の変化と暑さも重なり、体調の変化を感じていました。
また、普段以下のような症状が見られました。
- 頭痛や気象変化によるだるさ・眠気
- 眠りが浅く、夜中に2回ほどトイレに起きる
- 夢を見ることが多い
- 朝起きても疲れが取れず、日中も眠気がある
- 食後や会議中に眠くなる
- 強い便秘があり、コロコロした便になりやすい
- お腹が張りやすく、ガスが溜まりやすい
- 冷えると下痢になりやすい
- 緊張するとおへその上あたりがドキドキするように感じる
- ストレスを感じやすい
- 口渇がある
- 耳鳴りが気になることがある
など、複数のお悩みが重なっていました。以前、他の医療機関から加味逍遙散や桂枝茯苓丸を服用した際には、お腹が緩くなった経験もありました。
脈診・腹診:心下痞硬 胸脇苦満 脈細 紅舌
処方 小建中湯+柴胡桂枝湯
漢方相談での考察
今回のご相談では、ホットフラッシュだけを見るのではなく、「上半身は熱くなりやすい一方で、手足には冷えがあり、胃腸も繊細で疲れやすい」という全体像から体質を考えました。顔がぱっと赤くなるという特徴から、まずは桂皮を中心とした処方を考えました。ホットフラッシュの際に首から上が熱くなり、汗が上半身に集中することも、この特徴と合わせて検討しました。
一方で、冷えや便秘があり、幼少期からお腹が弱かったこと、疲労感があることなどから、単純に「熱がこもっている」と捉えるのではなく、冷えを伴う胃腸の弱さにも注目しました。当初は、冷えと便秘、お腹の症状から大建中湯も鑑別に挙げました。しかし、辛いものを食べると下痢しやすいという特徴があり、温める力の強い処方が現在の体質に合うかを慎重に考え、今回は候補から外しました。また、お腹の痛みや緊張との関連から四逆散も鑑別に挙げました。
最終的には、手足のひらが熱いこと、幼少期から胃腸が弱かったこと、疲労感があることなどを総合して、胃腸をいたわりながら体力を支えるという観点から小建中湯を検討しました。
さらに、今回の主訴であるホットフラッシュに対しては、柴胡剤の使用も検討しました。体質全体を整えることに加え、ホットフラッシュという現在もっとも気になっている症状にも直接アプローチしたいと考え、柴胡桂枝湯を併用する方針としました。このように漢方相談では、ひとつの症状だけを見て処方を決めるのではなく、
「熱があるように見えて、実は冷えもある」
「便秘があるけれど、胃腸は強くない」
「ホットフラッシュだけでなく、疲労感や睡眠、ストレスもある」
といった、一見すると相反する体のサインを一つひとつ確認します。そのうえで、現在の症状と体質の両方を考えながら、その人にとって無理のない漢方と養生を探していくことを大切にしています。
特に、「上半身は熱く汗をかくのに、手足は冷える」「便秘やお腹の張りがある」「疲れやすく、眠りが浅い」「ストレスや気象変化で症状が変化する」といった体の状態を丁寧に確認しながら、現在の体質や生活リズムに合わせて養生や漢方についてご相談しています。
【3週間服用後の経過】
スイッチが入るとあせが出始める。毎日出ている。熱いのと寒いのを繰り返す。お風呂上がりに汗が止まらなくなる。体温調整が苦手。しかし、汗はひきやすくなっている。便秘が解消された。トイレの回数減った。1回冷えると温まりにくい。1日2、3回便が出る。夜寝ている時にバクバクする。普段から焦っている。仕事に追われているため、今月いっぱいで今の職場は辞める。睡眠の問題がなくなる。仕事で夜が遅い時は睡眠足りなくなる。頭がふらっとすることがある。頭痛はなくなった。
同じ処方で継続
【6週間後服用後経過】
漢方薬を飲まないと汗が止まらない。
同じ処方で継続
【3ヶ月服用後経過】
ホットフラッシュが緩やかになってきた。汗のひき方が早くなる。お風呂あがりに暑いと感じる時の汗の引きも早くなった。頭痛もなくなる。(仕事辞めたせいもある)年末からコロナにかかって、気道が過敏になる、咳が出る。
同じ処方で継続
検討した処方を継続しながら経過をみたところ、3か月ほどでホットフラッシュが徐々に緩やかになっていきました。
まとめ
急激に症状を抑えるのではなく、その時々の体調や体質の変化を確認しながら、同じ処方を継続して経過をみました。現在は、ホットフラッシュそのものだけではなく、更年期に伴う精神的な揺らぎやストレスとの関係にも目を向け、心身のバランスを整えることを目的とした漢方薬で加療を継続しています。
更年期の不調は、ほてりや発汗といった身体的な症状だけでなく、環境の変化やストレス、睡眠、気分の揺らぎなどが互いに影響し合うことがあります。そのため、症状が変化したときには、その変化に合わせて体質を見直しながら、「今のからだに必要な漢方」を一緒に探していくことを大切にしています。
薬剤師 田村英子
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