へバーデン結節と漢方薬
「パソコンのキーボードを打つ時に指先の痛みが気になる」
「家事をしている時に痛みがあって不安を感じる」
「痛みで集中力がなくなる」
へバーデン結節による痛みの症状、「多少の痛みなら我慢ができる」と、やり過ごしてしまっていませんか。放っておくと痛みがひどくなり、関節の変形が進み、腫れがひどくなってしまう人も中にはいます。へバーデン結節には様々な治療方法がありますが、漢方薬が良かったケースも多々あります。へバーデン結節の基礎知識と症状、漢方治療について徹底解説します。是非ご参考になさってください。
へバーデン結節とは
指の第一関節が変形し曲がってしまう原因不明の疾患です。
へバーデン結節の原因
へバーデン結節はエストロゲン（女性ホルモン）が減少する更年期以降よく現れる疾患です。エストロゲンの減少と共に痛みが激しくなるのであれば、加齢と共に痛みが激しくなり続けるはずなのですが、実際にはある時期を過ぎると進行は終わります。そのためエストロゲンの減少だけでは理由を説明することができないのですが、エストロゲンの変動が大きく関係している可能性も考えられています。
へバーデン結節の診断方法
第1関節の変形、突出、痛みがあり、X線写真では関節と関節の間が狭くなったり、関節が破壊されたり、骨棘（とげ）があれば、へバーデン結節と診断できます。
へバーデン結節の症状
へパーデン結節の主な症状は痛みですが、痛みが出るのは第一関節のみでズーンとした痛み、シクシクする痛みなど様々です。指をまっすぐ伸ばせない、指がこわばる、物を持つなどの負荷がかかった時に痛みを感じる、痛みによって日常に支障を来たしてしまうこともあります。一方で、痛みを伴わない場合もあり、腫れる、変形するなどの症状が先に現れる場合もあります。症状の出方は人それぞれですが、ひどくなると指先が変形してしまってうまく物がつかめなくなってしまうこともあります。
●第一関節が痛い
●第一関節が腫れている
●指先が変形している
へバーデン結節を放っておくとどうなりますか？
関節の間には軟骨があり、関節包で包まれています。骨や筋肉、腱、靭帯などが一定の場所で働き、スムーズな動きができるのです。痛みを我慢して、無理に動かしていることで、骨や筋肉、腱、靭帯の位置がずれてしまいます。そのまま使い続けると、硬く縮んでしまう、軟骨がすり減る、骨と骨がぶつかることで結節（こぶ）ができる、骨棘（とげ）ができてしまうことがあります。
へバーデン結節の治療方法
１西洋薬での治療
痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤や湿布を使って炎症を鎮めていきます。また、消炎鎮痛剤で痛みが治まらない場合には、炎症を鎮めるため患部にステロイド注射をすることもあります。
更年期での女性ホルモンバランス変化も大きく関係していることからホルモン補充療法なども有効です。
２関節を固定する治療
第一関節を固定する方法
３関節形成術
骨棘（とげ）を切除する手術です。棘が神経にあたって痛む場合に有効で、関節の形を整えて関節の動きを滑らかにします。
へバーデン結節と漢方薬
へバーデン結節に対する治療としては「症状を取り除く漢方薬」と、痛みが落ち着いている時期に使用する「痛みが起きづらい体質改善の漢方薬」に分かれます。
症状を取り除く漢方薬
炎症が激しい時に使う漢方薬・・・越婢加朮湯
冷えて痛みがある時に使う漢方薬・・・桂枝加朮附湯
血流が悪い状態が同時に見られる時・・・田七人参
など、痛みの状態や伴う症状・体質に合わせて漢方薬を選びます。
痛みが起きづらい体質改善の漢方薬
●「瘀血（おけつ）」を取り除く漢方薬
漢方医学には「不通則痛（ふつうそくつう）」という言葉があります。
気血水が滞ることによって経絡が通じず、栄養や酸素を行き渡らせることができずに起きる痛みです。「瘀血」を取り除きながら止痛を期待できる田七人参や桂枝茯苓丸などを用いることがあります。
●「気滞（きたい）」を取り除く漢方薬
気が血を押し出しているため、ストレスによって気が巡らなくなると痛みが起きます。ストレスを感じている時に痛み症状が悪化したという例もご相談の中ではありました。ストレスがかかる時には、加味逍遙散や四逆散などの気の巡りを良くする漢方薬を使うことがあります。
●「腎精（じんせい）」を補う漢方薬
骨は「腎」と経絡で結びついているため、「腎」を養うことが、骨の問題に良いとされてきました。「腎」を養う生薬「鼈甲（ベッコウ）」（スッポンの甲羅部分でゼラチン、カルシウム、ケラチンなどを豊富に含みます。）「亀板（キバン）」（イシガメ科クサガメの腹側の甲羅部分で、加齢に伴う諸症状に昔から重宝され、筋肉や骨を良くするなどとも言われています。）や「鹿茸（ロクジョウ）」（鹿の骨化した角）など組み合わせた健康食品を用いることがあります。
これら以外にも痛み止めによる治療で胃の痛みがあったり、ステロイド治療による副作用が起きている場合にも漢方薬はおすすめです。
へバーデン結節に漢方薬を使うメリット
漢方薬での治療は、痛みをラクにするだけでなく全身症状を整えることができるため、今後起こりうる病気を未病の段階で良くしていくことにも繋がります。
へバーデン結節だけでなく、他に起きている不調も同時に整えることができるため、生活の質を上げることにも繋がります。
へバーデン結節やその他、更年期症状でお悩みの方は是非、一度ご相談ください。
（日本整形外科学会 HP 「へバーデン結節参照」 2024年9月24日）
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