
産後、眠れない症状は「女性ホルモン」のバランスの変化が大きな原因となっています。
妊娠中は妊娠を維持するためにエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが大量に分泌されている状態です。女性ホルモンは、妊娠を維持するだけでなく精神面を安定させることにも関係しています。出産後、ホルモンバランスが大きく変化することで精神的に不安定になりやすかったり眠れない症状が見られるようになります。
また、夜間の授乳によって睡眠のリズムが崩れる場合もあり、心身共に疲れてしまうこともあります。産後に眠れないお悩みを抱えて、漢方薬で眠れるようになった症例をご紹介させて頂きます。
<漢方相談例>
30代女性
X年来店
X年-1ヶ月 出産
主なお悩み・・・出産以降眠れなくなる。
寝つきが悪い。入眠するのに時間がかかる。2,3時間おきに目が覚めてしまい、途中起きるとそれ以降眠れなくなる。悪い夢をよく見る。精神的にも落ち込む。眠れなくてイライラすることがある。
その他にはこんな症状が見られた。
現在、授乳中。疲れを感じる。冷えを感じやすく火照りもある。熱がこもっている感覚があるが、汗をくことができない。食欲ある。妊娠前に見られた頻尿トラブルは出産後には見られなくなっている。便秘気味。
漢方薬 帰脾湯
2週間後睡眠変化
寝つきが良くなる。6時間くらい通して眠れるようになっている。睡眠が取れるのに伴い、体力も回復する。
1ヶ月後睡眠変化
睡眠の問題がなくなる。胸の張りをストレスに感じるため、断乳を考える。
2ヶ月後睡眠変化
寝つき、中途覚醒なし、睡眠の問題なし。断乳のサポートをしながら睡眠のための漢方薬を卒業する。
「血」は栄養や熱、酸素を運んでくれる赤い液体のこと、と漢方医学では捉えます。妊娠によって大量の「血」が消費される上に、出産によっても大量の「血」を失います。また母乳は白い「血」とされているため授乳によっても大量の「血」を失うことになります。産後は「血」が極端に少なくなっている状態なので疲れやすくなったり、脳に良い「血」が行かなくなることで、不安感が強くなったり、眠れなくなったりします。今回お渡しした帰脾湯という処方は、「血」を補いながら、睡眠の質を高める、気持ちを安定させてくれるための漢方薬としてお渡ししました。結果、二ヶ月で睡眠に関するトラブルが解消されました。
産後不眠症は、決して一人で抱え込まず、専門家にご相談くださいね。漢方薬や生活習慣の改善など、様々な方法で改善することができます。つらい症状から解放され、赤ちゃんとの生活を楽しめるよう、一緒に頑張りましょう。
薬剤師 田村英子
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代々木上原漢方相談 女性のための漢方薬店 日日漢方 更年期・PMS・生理痛・不妊症・子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮頸部異形成・産後体調不良など女性特有の体調不良をサポート。プライベート空間で初回ご相談じっくり、1時間。漢方薬だけでなくライフスタイルも提案します。
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