耳鳴りと漢方
耳鳴りは外側からの刺激がないにも関わらず、何かしらの音を感じる状態で、原因が明らかにされていないケースも多く、治療が難渋してしまうことがあります。耳鳴りの不快感により、夜眠れなくなったり、イライラがひどくなってしったり、このまま治らないのではないかという不安を抱えるケースも多くあります。ストレス状況下では更に耳鳴りが悪化してしまうというケースも見られます。急性症状が起きた場合、慢性化してしまわないように西洋薬による治療は欠かせないものですが、それでも改善が見られない場合に漢方薬での治療が功を奏する場合もあります。今抱えている症状が良くならずに不安を感じている方は、是非漢方での治療もご検討ください。
耳鳴りの種類
①拍動性耳鳴り 心臓の鼓動と一致している耳鳴りで原因としては貧血や動脈瘤、脳動静脈瘻(のうどうじょうみゃくろう)
②非拍動性耳鳴り 鼓動とは一致しない耳鳴り。
③自覚的耳鳴り 本人にしか聞こえない耳鳴り。聴覚中枢までの聴覚路に障害が生じているケースや耳垢、水、小さな虫やゴミが外耳に入ることで起きるケースもあります。
耳鳴りの原因
音は外耳道→鼓膜→中耳→内耳→脳神経→脳幹→大脳の聴覚野へと伝わります。この経路を「聴覚路」といい、電気信号が伝えられることで音と認識するのですが、耳鳴りはこの聴覚路のどこかに障害が生じて発生すると考えられています。
耳鳴りの一般的な治療
内耳の機能を改善するために、ビタミンB12製剤や、ステロイド剤、血管拡張剤、血流改善薬などが使われることがあります。また、不安感が強い人には抗不安薬や、耳鳴りにより鬱症状が見られる人には抗うつ剤などが処方されるケースもあります。
耳鳴りと難聴
耳鳴りは煩わしい音が聞こえる状態のことで、「難聴」を伴うことも多いのが特徴です。耳鳴りの原因は、音が聞こえにくい状態を脳が補い、音の感度を上げていくことで起きるとされています。一過性の耳鳴りは、過労やストレスから来ることが多いのですが、一時的なものだからといって、放置しておくと慢性化してしまうケースもあります。西洋医学での治療を第一選択とし、早めに対策を打つ必要があります。西洋医学でも症状が治らない場合には、漢方薬での治療もお考えください。
耳鳴り・難聴の漢方医学的な原因
①耳鳴り難聴の原因 腎が弱っているタイプ=加齢タイプ
耳は「腎」と経絡でつながっていて、加齢による耳鳴りや難聴は、「腎」の衰えが原因で現れるケースが非常に多いのが特徴です。このタイプの耳鳴りの特徴は、低音で、静かな時に「じーっ」と蝉の鳴くような音を特徴とします。
耳鳴り・難聴以外に他に現れる症状としてはこのような症状があります。
(その他の症状)
✔️めまい
✔️抜け毛
✔️物忘れ
✔️冷え
✔️腰や膝の痛み
✔️トイレが近い
<加齢による耳鳴り・難聴の対策としては、このような食材を普段から多めに食べることをおすすめします。>
加齢を加速させない。緩やかな加齢のカーブを描くことが大切。過労は避けて、加齢カーブを緩やかにするこのような食材を取りましょう。
黒胡麻・黒砂糖・黒豆など黒食材、くるみ。松の実、枸杞、山芋、豚、エビなど
<加齢タイプの耳鳴り・難聴の治療には、こんな漢方薬が使われます。>
杞菊地黄丸、八味地黄丸など地黄を中心とした漢方薬で約70%改善するという報告があります。
②耳鳴り・難聴の原因 ストレスタイプ
ストレスによって「気」(生命エネルギー)の巡りが悪くなり、耳を通る気の流れが滞ることで耳鳴りが起きるタイプ。ストレス時に耳鳴りが強くなるのが特徴です。
<耳鳴り・難聴以外に他に現れる症状としてはこのような症状があります。>
(その他の症状)
✔️ストレスと共に耳鳴りが大きくなる。
✔️普段からイライラしたり怒りっぽい
✔️愚痴っぽい
✔️呼吸が浅い
✔️偏頭痛が多い
<ストレスによる耳鳴り・難聴の対策としては、このような食材を普段から多めに食べることをおすすめします。>
ストレスを発散して上手に気の巡りを良くすることがおすすめ。日々の生活の中にお気に入りのアロマを置いておきましょう。
菊の花 ミント ジャスミンティー カモミール マイカイカ 柑橘類
<ストレスタイプの耳鳴り・難聴の治療には、こんな漢方薬が使われます。>
加味逍遙散 柴胡加竜骨牡蛎湯 抑肝散 釣藤散 四逆散
③耳鳴り・難聴の原因 水の余り・痰湿タイプ
元々胃腸が弱かったり、食べ過ぎ、飲み過ぎによって消化器に負担がかかることによって、水分代謝が落ちてしまうことで耳鳴り・難聴を起こしてしまうタイプです。
<痰湿タイプの耳鳴り・難聴以外に他に現れる症状としてはこのような症状があります。>
✔️耳の詰まった感じ
✔️回転性のめまいがすることがある
✔️吐き気
✔️口腔内のねばつき
✔️むくむ
✔️軟便
<痰湿による耳鳴り・難聴の対策としては、このような食材を普段から多めに食べることをおすすめします。>
余分な水をさばく食材をとることをおすすめします。普段から軽い運動をして汗をかくことで上手に体に溜まった余分な水を追い出しましょう。
冬瓜、きゅうりなどの瓜類。緑豆、そら豆、エンドウ豆などの豆類、ハトムギ茶
<痰湿タイプの耳鳴り・難聴の治療には、こんな漢方薬が使われます。>
半夏白朮天麻湯 温胆湯
④耳鳴り・難聴の原因 気血の不足タイプ
栄養が足りなくて、耳に栄養が行き渡らずに耳鳴り・難聴を起こしているタイプです。
<気血の不足タイプの耳鳴り・難聴以外に他に現れる症状としてはこのような症状があります。>
✔️疲れにより耳鳴り・難聴がひどくなる
✔️キー、ピーと高い音が聞こえる
✔️普段から疲れやすい
✔️食欲がわかない
✔️朝起きられない
<気血不足による耳鳴り・難聴の対策としては、このような食材を普段から多めに食べることをおすすめします。>
主食もちゃんと食べて、タンパク質を意識した食事をしましょう。疲れにくい体つくりをするために筋肉をつけ、偏った食事をしないようにしましょう。
米 栗 肉類 魚類
<気血不足タイプの耳鳴り・難聴の治療には、こんな漢方薬が使われます。>
帰脾湯 六君子湯 十全大補湯
痛みを伴わない耳鳴りや難聴は、放ってしまいがちですが、慢性化してしまうケースもあるため、しっかりケアしましょう。普段から、過度な労働やストレスには気をつけてお過ごしください。
体質によって漢方薬を使いわけますが、その体質になってしまう原因を探ってどんな生活習慣に気をつけて良いのか知りたいというのでしたら、漢方相談がおすすめです。
薬剤師 田村英子
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