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産後、寝付けずに朝を迎えてしまう不眠症が漢方薬で改善

出産後、ホルモンバランス変化により心身の不調をきたしてしまう女性は多くいます。しかし、育児に追われることにより、自分のケアが後回しになってしまうことも多々あります。そして、赤ん坊を連れてどこに受診してよいのかも分からずに、辛い状態を放っておいて、数年間、体調不良を引きずってしまったというケースもよく伺います。今回は産後ご自身の不調に気づいて、来店され、不眠症が改善できた症例をご報告させて頂きます。

30代女性

第一子出産後、1日3時間しか眠れなくなる。夜間、体が熱くなり眠れなくなる。眠れないせいか疲れがピークに達してしまう。鬱っぽい。不安感が増す。急に泣き出すこともある。元々寝付きが悪く、朝を迎えてしまうこともある。食欲もない。もたれやすい。

<処方>婦宝当帰膠+酸棗仁湯

産後の「陰(潤い 体液)」や「血」の不足を考えて上記処方で3週間様子を見る。

<産後は血虚になりがち 血虚を支える婦宝当帰膠>

体の火照りが消えた。体力も回復する。不安感も減ってきた。しかし、寝つきや睡眠の質は、いまだ変化なし。産前と同じ体重まで戻る。食欲は出て、すごい量を食べる。排便も問題なし。

<処方>同じ処方で様子を見る

眠りは浅いけれども眠れている。週に一回は徹夜になってしまう。寝る前、寝付きもあまり良くない。眠りは浅くよく夢を見る。眠れないことに対する不安感がある。日中に不安感はない。夜間、再び体に熱がこもり、熱くなることもある。動悸しない。緊張感も感じない。便通:普通 毎日出ている。脂っこいものが食べられない。乳腺炎になりかけた。むくみなし。食いしばりなし。お腹にガスが溜まる。汗はかかない。精神的に安定している。産後の気分が高揚した感じが続く。

<処方>知柏地黄丸+帰脾湯

授乳や寝不足により体液不足を引き起こしていることから、夜間の煩熱状態(ほてりなどを不快と感じる症状)が起きていると考えられる。煩熱感をとらないと良質な睡眠が得られないことから知柏地黄丸を処方。脂っこいものが取れないこともあり、消化器に気をつけながら帰脾湯を処方する。

悪夢を見ることがなくなってきた。不安感が減ってくる。睡眠眠れなくて朝を迎えることがなくなってきた。知柏地黄丸は、1/2で最初胃がもたれたので、1/3に減らして飲んでいた。最近は一回分半量飲めるようになってきた。食べられるようになって、食欲むしろある。胸はしこりができやすい、夜間尿→起きたからついでにトイレに行くような感じ。

<処方>同じ処方で様子を見る。引き続き消化器症状に注意する。

飲めないことが多々あった。知柏地黄丸は胃がもたれるため飲むことができない。

夜3時間で目が覚めた時に、体が熱いと感じる。眠る時間になるにつれて、目が爛々としてくる。現在、胃もたれがある。

<処方>益陰+帰脾湯

※益陰は、亀の甲羅を中心として、必要な「陰」を補いながらも、潤い不足によって生じる相対的な熱感。西洋医学的には、自律神経バランスが乱れ、交感神経が過亢進気味になっている状態です。

今までになく体調が良い。寝つきが良くなり改善され眠れるようになる。途中、授乳などに起きなくてはならないが、授乳した後もぐっすり眠れるようになった。

<考察>

妊娠中から女性は赤ちゃんをお腹で育み育てるために多くの「血」や「陰」というものを必要とします。この「血」は、体を栄養している赤い体液のことで、精神的な安定や、良質な睡眠にも関係しています。また「陰」は、大まかな意味合いでは体液を言います。出産によって、この「血」や「陰」が更に失われてしまいます。このことにより、産後の精神不安や眠れないなどの症状が出やすくなること、また「陰」が失われることにより、相対的に熱を帯びやすくなり、体に熱がこもって煩わしいなどの症状が見られたり、夜になると頭が冴えてくるなどの症状が見られるようになります。この方は、煩熱を取り除かないと眠れることができないと推測したものの「知柏地黄丸」という処方は胃が弱い人に使うと胃もたれなどの症状が出ることがあります。飲めなくなってきたため、煩熱を取り除く「女貞子」「旱蓮草」を含みながら、体の体液を増やす「亀の甲羅」が入った処方に切り替えたところ、寝つきが良くなり、夜間も熟睡することができるようになりました。

<結語>

出産後、授乳によって夜間眠れないことが続くことによって、不眠症になるお母さんは実は多くいらっしゃいます。夜間眠れなくなることで、精神的に安定しないなどの症状が見られるようにもなります。漢方薬は睡眠薬と異なり、いきなり眠れるようにはなりませんが、良質な睡眠へと導くことができるよう体質改善をしていくことができます。また、天然生薬由来で、授乳中でも安心してお飲みいただくことができます。もし、お悩みでしたら是非ご相談ください。

薬剤師 田村英子

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