産後うつや産後の不調は何が原因?どうすれば良い?
産後は赤ちゃんが産まれてきてくれて嬉しい気持ちとホルモンバランスの変化による心身の不調や、疲労、これからの育児に対する不安感などが同居して、環境が大きく変化し、母親にとっては複雑で不安定な時期でもあります。何でもないのに涙が出たり、イライラしたり、眠れなくなったり、今までとは違う様々な症状にとまどってしまうこともあるでしょう。産後や育児における時間は自分にしか分からない子供と自分との精神的な密室。産後は家族が同じ空間にいながらも、孤独感に襲われることも多々あります。産後のケアにおすすめなのが漢方薬。天然生薬由来成分で、副作用の心配をすることなく、心身の不調をケアすることができます。今回は産後不調の原因と対策をお伝えさせていただきます。
【産後うつの原因・いつまで続くの?】
産後うつは「女性ホルモン」のバランスの変化が大きな原因となっています。
妊娠中は妊娠を維持するためにエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが大量に分泌されている状態です。女性ホルモンは、妊娠を維持するだけでなく精神面を安定させることにも関係しています。出産後、ホルモンバランスが大きく変化することで精神的に不安定になりやすくなります。産後2週間以内は心身の変化は起こり得るものなので心配要りませんが、2週間以上続くようであれば何らかの対応を考えなければなりません。
また、育児に対する不安感や赤ちゃんに夜中起こされ寝不足が続く、自分の時間を持つことができないなど、今までの生活様式と一変し、様々な制約のある生活を送ることにより心身共に疲れてしまうこともあります。夫や周囲からの協力が得られないワンオペ育児など様々な係数が絡み合うことで、産後うつの状態と陥ってしまうの注意が必要です。
【産後うつの症状は?(産後うつチェクリスト)】
・なんでもないのに泣けてくる
・不安感が強い
・極度の疲労を感じる
・急に怒りっぽくなる
・ふさぎ込む
・眠れない・不眠
・ほてる
これらの症状が見られるようになります。人とは普通に話せるし、今まで通り家事や仕事をこなすことができる、周りからは一見、産後うつに見えない場合もあります。社会的生活を今まで通りこなせてしまうこともあり、自分自身でも産後うつに気づきにくいことが多々あります。
【産後うつになりやすい人の性質】
✔︎一人で何でもこなしてきた人
✔︎ポジティブな思考であるべきと考えてしまう人
✔︎完璧主義
今まで自分一人で何でもこなしてきてしまった人は、産後周囲からの協力が得られなかったとしても一人で何とかこなしてしまおうとして実は知らず知らずのうちに大きく負担がかかっていることがあります。
また、強かった時の自分が弱くなった自分を認めることができないというポジティブであるべきという思考の人も今の自分を受け入れがたく鬱になりやすいので注意が必要です。
仕事をしていない分、完璧に家事・育児をやらなければならないという考え方も自分を追い込んでしまい、産後うつになる原因になります。
【産後うつにはこんなことがおすすめ】
①社会的なサポートを頼る
産後や育児における時間は自分にしか分からない子供と自分との精神的な密室。産後は家族が同じ空間にいながらも、孤独感に襲われることも多々あるでしょう。同じ気持ちを共有できる友達と話すこと、近所の助産師、ベビーシッターサービスや周囲にある「産後ケアセンター」などを利用することも一つの手です。
②家事をこれまで通りにこなそうとしないこと
育児休暇は子供と過ごすための大切な時間、家事をこなすための休暇ではありません。家にいながら「なんで家が片付いていないの?」と夫から厳しい目を向けられることもありますが、ゆったりした気持ちで構えておくことが大切です。
赤ちゃんが寝たタイミングで家事をこなそうとせず、赤ちゃんと一緒に昼寝するくらいの気持ちで過ごしましょう。
【産後は大量の「血」を失う】
漢方医学的に出産では大量の「血」を失います。また母乳は「白い血」と考えます。乳腺で血液が母乳に変換されることで作られるのです。ですので、授乳によって「血」は大量に失われてしまいます。「血」は体を栄養する役割だけでなく、精神を落ち着ける物質でもありますので、この「血」が大量に失われることで疲れやすくなる、精神的に不安定になるなどの症状が見られます。
【「血」を補う薬膳食材】
血を補う食材を積極的に食べましょう。レバーや赤身の肉類・カツオ、マグロなどの赤身の魚などは「血」を増やしてくれます。西洋栄養学的にはハッピーホルモンである「セロトニン」の原料となる「トリプトファン」を多く含みます。魚の血合いの部分などもおすすめです。
【産後うつには「血」を補う漢方薬】
抑うつ・イライラ・不眠に授乳中も安心して飲める漢方薬がおすすめ!
産後の体を立て直すためには「血」を養うような漢方薬が使われることがあります。天然由来の生薬で、授乳中でも安心して飲むことができる。良質の「おっぱい」を作ることを助け、
①不安感や動悸がある・眠りが浅い 加味帰脾湯 桂枝加竜骨牡蛎湯
②いらいら 鬱々とする 抑肝散加陳皮半夏 加味逍遙散
③むくみや冷え、疲労感が強い 当帰芍薬
④産後悪露 折衝飲
これらはほんの一例になります。その方の体質に合わせて心の不調に対するカウンセリングもしながら、オーダーメイドの漢方薬をお作りしております。
【産後うつ・産後の不調にオンライン相談での漢方薬がおすすめ】
赤ちゃんを連れて、準備して、時間通りに出かけるのは母親にとって、ストレスを増やす原因になることもあります。日日漢方では、自宅にいながら好きなタイミングで、赤ちゃんと一緒にオンラインの漢方相談を受けることができます。もし、一人で悩んでいたら、是非ご連絡ください。
薬剤師・国際中医薬膳師 田村英子
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