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生理痛

生理痛は我慢するのが当たり前。休むことは大げさ。そんな風に思っている女性達は多いでしょう。漢方医学の世界では「生理痛はないのが当たり前」です。生理中にお腹の張りや重苦しさを感じるくらいなら誰にでもあるかと思いますが、なかには、痛みがひどくて寝込んでしまったり仕事を休んだり日常生活に支障を来す人もいます。痛みで苦しんでいる上に、仕事を休むことで罪悪感を感じる女性もいます。生理休暇を設けている会社もありますが、実際にはとりづらいのが現状です。
漢方カウンセリングの女性に中には、「絶対に間違えられない仕事=経理をやっていて、生理中は集中力がなくなって、ミスするのが嫌なので生理中は仕事を休む。」と言う女性もいました。また決意して医療機関に受診したものの、「生理痛は痛いと書くぐらいなのだから痛くて当たり前だ。」と言われて非常に傷ついてしまった女性もいます。何事も当事者にならないとなかなかわからないことから、周りとギクシャクしてしまうこともあります。「生理の問題」として括られてしまう一方で、これらの症状はストレスやホルモンバラスの乱れ、栄養不足など色々言われていますが、どれも当てはまるような気がするという人も多いでしょう。生理トラブルに関しては、漢方で良くなるケースが比較的多く、漢方での治療法則をもとに、どのように整えていけばいいかをお話ししていきたいと思います。

月経困難症とは

生理痛がひどくて、日常に支障をきたすほどのものを「月経困難症」と言います。月経困難症とは診断によるものでなく、「自分が痛くて辛い!」といえば、「月経困難症」です。痛み方は人によってレベルが異なります。以前と比べて生理痛がひどくなってきたようであればきちんと婦人科に受診して自分のからだが今どういう状態にあるのかをまずは、確認して頂きたいと思います。
そして、もし原因が見つかったら、原因に合わせて対策を考えていく必要がありますが、原因が見つからなかったとしても、諦めないでください。婦人科疾患にかかる手前の「未病」の段階で生理痛などのお悩みを解決していくのが漢方の大きな特徴です。
この月経困難症は、「機能性月経困難症」「器質性月経困難症」の2つに分かれます。

機能性月経困難症とは

婦人科行って調べても何も原因がわからないものを「機能性月経困難症」と言います。冷え、栄養不足の問題、ストレス、運動不足などいろいろな原因によって引き起こされます。婦人科にかかって問題がなかったからといって、そのままにしていると将来的に「子宮内膜症」や「不妊症」の原因となってしまうことがあります。
一方で、子宮筋腫だったり、子宮内膜症だったり、原因がわかるものを「器質性月経困難症」と言います。

器質性月経困難症とは

子宮は一つの筋肉の袋、平滑筋でできています。大きさは8センチかける4センチでどこにあるかというとヘソの下5センチくらいのところにあります。器質性月経困難症は大きく分けて、以下の3つのタイプに分かれます。

①子宮筋腫・子宮内膜症による生理痛
子宮筋腫は30代以降の女性の4人に1人はあると言われています。どこにできるかや大きさによって痛みのレベルが違います。できていても痛みがない人もなかにはいます。生理のたびに痛みが激しかったり、出血が多すぎたりすることによって、貧血になってしまう、など生活の質が落ちるようでしたら、何かしらの対処をする必要があります。
この時、ピルを服用することや6センチ以上であれば手術を勧められることもありますが漢方薬も有効です。閉経後に小さくなるので、低容量ピルを使って、対症療法で閉経まで逃げ込むというのも手段の一つです。
器質性月経困難症の一つである子宮内膜症ですが、子宮内膜と同じ細胞が子宮内膜ではないところにできてしまい生理の時に、生理と同じように出血することで、激しい痛みを伴います。この場合も、社会生活に支障をきたしてしまうような場合は、低容量ピルを用いて治療することがあります。
大人になってから生理痛が激しくなってきたり、生理の血液量が増えてきたり、いつもの生理と違うと感じる人は、このような病気が隠れている可能性があるので、是非婦人科に行って検査をしてみてください。

②子宮口が未発達の場合の生理痛
子宮口が未発達の場合、生理の際になかなか血液を出せなくて痛む場合もあります。この場合は妊娠・出産後に子宮口が広がることによって、改善するケースがあります。

③骨盤の位置がずれていることによる生理痛
骨盤の位置がずれていることによっても起こります。骨盤は一つの骨でできているわけではなく、仙骨や尾骨などいろいろな骨の組み合わせによってできています。毎月の排卵や生理によって骨のつなぎ目が緩んだり、しまったりするので、骨盤とその周りの筋肉や骨盤内の血液循環に変化が起きます。骨盤がゆがんだりしているとうっ血しやすく痛みも起こりやすくなります。カイロプラクティックに行って骨盤のゆがみをとってもらってから生理痛が楽になったというケースもかなりあります。子宮後屈といって後ろに倒れている場合でも、痛みが起きます。出産によって骨盤の位置が変わることから痛みがなくなることもあります。

生理痛の治療

子宮筋腫や子宮内膜症など、あまりに痛みが強くて、毎月来る生理のたびに吐いてしまうほど辛い人もいます。学校や会社を休む、救急車を呼ばなくてはいけない人もいます。社会生活に支障をきたしてしまうような場合、生活の質を高めるために、痛み止めや低容量ピルなどを使い、生理を止めてしまうという選択肢もあります。エストロゲン依存性の子宮筋腫・内膜症でしたら、閉経以降、生理痛が和らぐため、うまく薬を使うことで、閉経まで逃げ込むこともできます。症状が重たくて辛いうちは、とにかく自分の症状を「まずはなくす」ことを一番に考えてみてください。
しかし、薬の服用による吐き気、胸の張り、不整出血などの不快な症状が見られて、薬を飲むのをやめてしまう人も中にはいます。どんな治療が自分にあっているか、今後、子供が欲しいのか、閉経まで間もないのかなど、自分のライフプランも考えながら選択肢を増やしておくと良いですね。
そして、どの病気もそうですが、西洋薬で症状が取れてきたら、ここからが自分の体を真に見直すチャンスでもあります。漢方薬との併用でケアしていくこともおすすめです。

「痛み止めは飲まない方がいいですよね?」と思っている方へ、痛み止めとの付き合い方

漢方カウンセリングの中では、「痛み止めを我慢しています。」とか、「痛み止めが癖になるから飲まないようにしている。」などとおっしゃる女性もいます。しかし、飲んでもせいぜい一週間くらいくらいのものなので、痛みによるストレスなど考えると飲んでしまった方が楽になり生活の質が上がります。生理のときに頭痛がする女性も多いのですが、それも同じです。痛みを抱えて我慢するより、上手に痛み止めを使いましょう。
しかし、生理のたびに痛み止めを使うとか、一日にすごいペースで飲むとか、使う頻度が高いようでしたら、普段の生理で使わなくていいような体質を目指すためにきちんとケアしていく必要があります。

生理痛の原因

生理痛は子宮内膜が脱落する時にプロスタグランジンという痛み物質が放出されることでおこります。この分泌が過剰なほど痛みがひどくなります。このプロスタグランジンは子宮を収縮させる働きがあり、このときに痛みが起こります。
プロスタグランジンの生成を押さえるのが痛み止めです。ですので、痛いかなと思ったときに我慢しないですぐに飲んで、抑えてしまうと効果的です。漢方薬などでは、芍薬甘草湯、よく足のつりに使われますが、筋肉の緊張を緩めてくれるので有効です。

生理痛の漢方薬治療

体質改善は漢方医学の得意とするところです。先にも申し上げましたが、漢方医学の世界では「生理痛はないのが当たり前」なのです。漢方治療によってどのようなメリットが得られるかというと
・痛み止めを使う頻度を減らすことができる。
・痛み止めに頼らない体質作りをしていくことができる。
・婦人科疾患にかかる未病の段階でケアすることができる。
などが挙げられます。痛みにはどんな体質があるのかを分けて考えていきたいと思います。
漢方では、痛み方やいつ痛むのか・どんな痛み方をするのか、で体質が異なり、漢方薬を使いわけていきます。生理が始まる前に痛むのか?生理が始まった初日に痛いのか?生理が終わってから痛いのか?いつ痛いのか、痛みの性質により体質が異なります。体質分類をしていく方法はいくつかありますが、ここでは生理痛を「瘀血」「冷え」「ストレス」「栄養不足」の4つのタイプに分けて考えています。

①生理痛 瘀血タイプの漢方治療
このタイプは、テレワークやデスクワークなどの運動不足が原因で、筋肉が落ち、血行不良になっているタイプです。また、冷えや薄着によって、血行不良になり痛みが強くなってしまう人もいます。生理痛は生理初日に起こり、激しい痛みを特徴とします。夜間に痛みが増す、冷えによって痛みが増すことがあります。また生理の血液の中にレバーのような塊が多いのも特徴です。
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮線筋症、卵巣嚢腫など、婦人科疾患をかかえて痛みが起きている場合は、「不通即痛」、通じざれば、即ち痛むと考え、「瘀血」が大体において存在しています。
骨盤内の鬱滞した血液を流すという、瘀血の治療を優先して漢方薬を使って治療することがあります。

②生理痛 冷えタイプの漢方治療
このタイプは、薄着や冷える環境にいることで体が冷えて、血行不良となり生理痛が起きています。生理痛は生理初日に起こり、引きつるような激しい痛みを特徴とします。生理が遅れてくることもあります。下腹部を温めたり、尾骨を温めるたりすることで生理痛が楽になることがあります。
日常から、シャワーだけで済ませずに湯船にちゃんと浸かる、骨盤周りを冷やさない、生野菜や冷たい飲み物を控えるなどの生活スタイルを改善することも大切です。冷えと瘀血はセットになっていることが多く、「冷えを解消しながら骨盤周りの血行を良くしていく処方を選んでいくことがあります。

③生理痛 ストレスタイプの漢方治療
忙しく生きる現代女性に多いタイプです。きちんとしていることが好きだったり、働いていることが好きだったり、責任感が強かったり、無意識にたまるストレスに気づかないでいるうちに生理痛が酷くなるタイプで「張る」痛みを特徴とします。
生理痛は生理初日に起こり、このタイプは生理前に胸が張ったり、イライラが強くなったりするPMSなどの症状も見られます。世間から求められることに答えていけるような優等生タイプでもありますが、日頃から「ほどほど」や「適当」を心がけることも大切です。ストレスと瘀血も同時に起こることが多く、リラックスを助ける漢方薬を処方することがあります。

④生理痛 栄養不足タイプの漢方治療
偏った食事やダイエットにより、栄養不足になってしまったタイプです。良い栄養や酸素を組織や細胞に届けることができずに、痛むのを特徴とします。生理痛は、「血」を失った生理の後半からシクシク痛み始めます。生理の血はサラサラで色が薄かったり、量が少なかったりします。生理前に訳もなく泣けてきたり、落ち込んでしまったりすることもあります。また、生理中眠くなり集中力がなくなることもあります。
綺麗になることを理由に「フルーツ」や「野菜」だけの淡白な食事で済ませてしまっている人が多く、しっかりと肉や魚を毎食取り入れるなど、必要な栄養をとることも大切です。栄養を補う「当帰」ベースの漢方薬を処方することがあります。

終わりに

生理痛と一言で言っても、タイプにより治療方法は異なります。痛いことをわかってもらえず悔しい思いをした、痛みを我慢し続けているうちに心までボロボロになってしまった女性達、我慢しないでください。漢方カウンセリングで生活も一緒に整えて、生理痛を楽にするだけでなく、自分の生き方も楽にして心地よく過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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