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無月経・月経不順

生理不順や生理が来なくなってしまったのをそのままにしていませんか?「生理はない方が楽」「いつかケアしよう・・・」 「婦人科で何か言われたら不安・・・」そう思って生理不順、無月経を後回しにしている女性は多くいます。特に妊娠・出産をリアルに描けない10代の女性の中には、ダイエットが原因で生理が止まってしまってしまい、楽だからとそのままにしてしまうケースが多く見られます。
どこの婦人科が良いのか分からなくて調べることから始まり、電話して予約、予約した日は予定が読めないため、仕事を丸一日休むことを思うと、かなりのハードルが上がり、医療機関を受診するきっかけを失っている人も中にはいるでしょう。
しかし、生理不順が3ヶ月続くようなら、すぐに検査をしてケアを始めましょう。生理が来ないままの状態でいると、将来、不妊の原因になる、骨粗鬆症などのリスクが高まることがあります。生理不順、中でも「無月経」の原因を漢方医学的に説明し、どんなケアが必要になるのかを解説していきたいと思います。

無月経とは

無月経は妊娠していないにも関わらず、3ヶ月以上生理が来ない状態をいいます。生まれつきの理由で、生理が来ない人もいますが、過度なダイエットやストレス、激しい運動により、一旦来ていた生理が来なくなることもあります。毎月来るはずの生理がとびとびに来るようになる、生理の量が徐々に少なくなる、などの段階を経て、徐々に生理が全く来なくなる「無月経」の状態になってしまいます。

生理が来ないままの状態でいるとどうなるのでしょうか?

生理が来ない状態のままでいると、望んだタイミングで妊娠ができない不妊症の原因になることがあります。あるいは、将来ちょっとぶつけただけでも骨折してしまう「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」のリスクが高まります。また、人によってはプロゲステロンが分泌されないことによって、エストロゲンの持続作用による子宮体癌などの病気の発症リスクが高まることもあります。
「生理が来ない方が楽」と言って放っておかずに、病気の発症を抑えるためにも、原因を知った上で、生理がきちんと来るように体を整えておくことが大切です。

無月経の原因

無月経の原因には、大きく分けて3つのパターンが考えられます。

1. 生理的な無月経
妊娠や授乳中などは生理的な理由で生理が来なくなります。この場合、出産後、授乳が終わると自然と生理が来るようになります。40代後半の更年期に差しかかる頃に、生理がとびとびになったり一度に多くの出血をしたりと、生理不順を経て、いずれ閉経し生理が来なくなる場合もあります。

2. 原発性無月経
生理は平均12、13歳ますが、18歳になっても一度も生理が来ていない状態を「原発性無月経(げんぱつせいむげっけい)」と言います。嗅覚異常を伴うカルマン症候群、先天性のゴナドトロピン欠損症や、女性のX染色体のうちの一方が欠損しているターナー症候群など、性腺・性管系などの先天的な異常に基づくものが原因の約8割を占めています。原発性無月経は無月経全体の0.3〜0.4%と非常に稀です。

3. 続発性無月経
生理が来たものの、生理が3ヶ月以上停止した状態を「続発性無月経(ぞくはつせいむげっけい)」と言います。生理は「お腹の中で子供を育み育てることができる」妊娠しても良い状態になった時にはじめて来ます。ですので、無理なダイエットによる栄養失調の状態が続く、過度な運動、過度なストレスの場合、脳が「妊娠している場合ではない」と判断して生理を止めてしまいます。その他の原因としては、脳下垂体・甲状腺機能がうまく働かないことや、経口避妊薬・抗うつ薬・向精神薬などの副作用が原因となることもあります。

無月経の場合はまず病院で検査

無月経の場合は、どんなことが原因で生理が来ていないのかを、まずは婦人科に行って検査してもらいましょう。
エストロゲン、プロゲステロン、 LH、FSH、プロラクチン、テストステロン、甲状腺ホルモンなどの血液検査や、子宮や卵巣などの超音波検査を行っていきます。

無月経の一般的な治療

生理が来なくなってしまった場合は、検査結果と合わせて、女性ホルモンを補充するなどの必要な処置が取られることがあります。
また多嚢胞性卵巣症候群など排卵していない場合は、排卵誘発剤などを用いて排卵を起こさせる場合もあります。
しかし、人によっては薬による副作用による吐き気や胸の張り、不正出血などの症状が現れることもあり、その場合には、漢方薬での治療もおすすめです。

無月経の漢方治療

無月経と診断された場合、その結果と照らし合わせた上で、漢方での治療を進めていきます。いつから生理が来ていなくて、どんな理由から来ていないのかなど、背景を詳しくうかがいながら、根本原因を探っていきます。そして原因も含めて漢方薬での治療をしていきます。また、体全体を整えていくため、生理不順が整ってくると精神的にも安定することがあります。カウンセリングにより、何で食べなくなったのか、や、食べることへの罪悪感など、気持ちを整理することへも繋がります。
ここでは、漢方の治療でもよく見られる気滞タイプ、血虚タイプ、腎精不足のタイプに分けて解説していきます。(その他のタイプでも生理不順・無月経は見られます。)

気滞タイプ
過度なストレスがかかる、ストレスが長く続くことにより生理は止まってしまいます。ストレスがかかった時、腦の視床下部が支配している自律神経が働きます。この視床下部は女性ホルモンの分泌にも関わっています。ですので、ストレスがかかった状態が長く続くことで、正常に働かなくなり、生理が止まってしまうことがあります。生理が来たり来なかったりと周期が安定しないことが前兆としてあります。日頃から肩に力が入りやすい、責任ある仕事に就いている女性に見られます。

<気滞タイプの漢方薬>
ストレスを和らげる「加味逍遙散」や「抑肝散」「柴胡加竜骨牡蛎湯」といった漢方薬を用いていくことがあります。どの漢方が適しているのかは、漢方カウンセリングによって決めていきます。

血虚タイプ
偏った食事や、無理なダイエットによる栄養不足のタイプです。日本人女性のやせ(BMI低値)は問題になっています。生理は「妊娠できますよ」というサインですので、痩せて栄養不良の状態では、妊娠している場合ではないと脳が判断し、生理を止めてしまいます。
このタイプの生理は徐々に生理の量が減り、生理が1ヶ月来ない、3ヶ月来ないなど、段々ととびとびになりやがて生理が来なくなるパターンです。日常では、肉や魚などを食べていない偏った食生活を送っていたり、美容にいいからと言ってサラダやフルーツで食事を済ませたりする女性に多く見られます。血虚症状は他に立ちくらみがある、爪が欠けやすい、髪が切れやすいなどの症状も同時に見られることがあります。

<血虚タイプの漢方薬>
「当帰芍薬散」「十全大補湯」などの「血」を増やす漢方薬を積極的に使っていくことがあります。

血はからだを栄養するだけでなく、精神を安定させてくれるものでもあります。やりたいことをやるにも血が満ちていないと、やる気続かない。落ち込みやすいなどの症状が出てきてしまうため血を満たすことは、自分の将来について考える上で重要です。

腎精不足タイプ
人は皆、生まれながらにして、親から「精」というものを受け継いで生まれてきます。「精」というのは、生きていく上で必要なバッテリー電池、生命力のことです。生まれながらにして、からだの強い、弱いがありますが、それにはこの「精」が大きく関係しています。そしてこの精は生殖や発育・ホルモンバランスに関係している「腎」と言われる部分に宿しています。卵巣や子宮、卵管、膣、すべてを「腎」と捉えていきます。
毎日、終電帰り、徹夜続きのような仕事、大病を患う、出産、冬の寒さなどによってこのからだに宿している「精」は減ります。
精が目減りすると「腎」の力が衰え、生理が来ない、妊娠しづらい、流産を繰り返す、更年期が早く訪れる、年齢より老けて見られる、疲労回復が遅くなるなどの生命力の減少や、老化が早まるなどの症状が見られるようになります。また、生まれつき精が不足しているタイプでは、初潮の年齢が遅かったり、生理が初めてきてからとびとびでくるなどの症状が見られます。

<腎精不足の漢方薬>
亀の甲羅や鹿の角などの動物性の生薬が入った漢方薬を用いて治療していくことがあります。
精が目減りしないようにするには、夜はちゃんと寝ること、疲れたら休むこと、ミネラル豊富な海の幸(魚介類・海藻)を積極的に取るなど、生活習慣に無理がないかを振り返ってみましょう。

終わりに

生理が来なくなったということは、いずれにしてもどこか自分には合わない不自然な生活を送っているということです。ホルモンを補充することで、生理を来させるということも選択肢の一つですが、カウンセリングをしながら漢方薬を飲むことで、ライフスタイルを振り返りながら自分の生活を整えていくことができます。
「生理は女性のからだから毎月送られてくる通信簿」です。生理がめんどうくさいと無月経を放置している人もいますが、生理が来たらめんどうくさくない生理になるように整えていけばいいのです。漢方治療では、時間を要することもありますが、根気よく続けているうちに精神的に整う、肌艶が良くなるなどの二次的効果を期待することもできます。これから女性が働き続けるには、生理を含めたからだや心を整えていくことが必要不可欠になります。生理不順、無月経でお困りの方は一度お気軽にご相談ください。

 

 

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