子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜の組織が子宮内膜以外の場所で増える疾患で、生理のたびに出血し炎症を起こし痛みを伴います。生理のある女性の10%にも及ぶと言われています。生理が来るたびに激しい痛みで吐いてしまったり、寝込んでしまったりする女性もいます。著しく生活の質を落としてしまう子宮内膜症ですが、悪性化するケースもあるため、きちんと治療していく必要があります。

子宮内膜症の症状

子宮内膜症の症状は、痛みと月経血の量が多いことが特徴です。子宮内膜の組織が子宮内膜以外の場所で増え、生理のたびに出血し、炎症を起こしたり、周辺の組織と癒着したりすることで痛みます。また性交時や排便時に痛みが出る、その他では不妊症、便秘の原因になることもあります。痛み以外の症状では、夜用ナプキンを1,2時間に一回取り替えないといけない、など生理の量が異常に多くなることがあります。また、出血量の多さに伴って貧血症状や脱水状態を引き起こすこともあります。

子宮内膜症の原因

原因としては排出されるはずの子宮内膜が逆流して、骨盤腔内に至り腹膜に浸潤・増殖し、血管が新しくできると考えられますが、はっきりした原因は分かっていません。

子宮内膜症の種類

子宮内膜症はできる部分によって、４種類に分かれます。いずれも生理のたびに子宮内膜組織が、厚くなる→出血する→炎症を起こす、を繰り返すことで、下腹部の痛みや腰痛、排便時の痛みを引き起こしま。す
チョコレート嚢胞：子宮内膜症の中で最も多く見られます。卵巣にチョコレートのよう血液が溜まっていることからチョコレート嚢胞と呼ばれています。
子宮線筋症：子宮内膜組織が、子宮の筋肉の中にできている状態です。生理がくると、筋肉の中にある子宮内膜が厚くなって出血し、炎症を起こします。出血した血液は筋肉の外に排出することができずに、出血が溜まることで、子宮がむくみ、大きくなってしまいます。
骨盤子宮内膜症：1センチ未満の子宮内膜組織が、骨盤内の臓器（卵管、卵巣、腸）などにできてしまっている状態です。骨盤内の炎症度合いによっては、生理以外でも腰痛、下腹部痛、排便痛が起こる場合もあります。
異所性子宮内膜症：子宮内膜が腹膜や腸、肺、皮膚など子宮内膜ではない部分にできてしまっている状態です。

子宮内膜症の漢方治療

痛みに対してはまず痛み止めを用います。効果がない時には低容量ピル、視床下部ホルモン剤のGnRH療法、黄体ホルモン剤などを用いてエストロゲンの分泌を抑えて子宮内膜の増殖を防ぎます。チョコレート嚢胞や子宮線筋症、異所性子宮内膜症の場合は手術になるケースもあります。

子宮内膜症の生活スタイルアドバイス

血液の巡りを良くしていくことが大切です。
・足首や腰周りを冷やさないこと
・太ももの大きい筋肉を冷やさないようにすること
・冷たい飲食を摂らないこと
・湯船に浸かる

子宮内膜症の漢方治療

血液の巡りが悪い状態を「瘀血」と言います。瘀血は「痛む」「黒ずむ」「しこる」を特徴とします。漢方治療では血液の流れを整えることで一定の効果をあげています。瘀血は栄養不良やストレス、冷え、加齢などの二次的に起こることが多いため、瘀血の原因を見極めた上で治療していきます。漢方薬によって子宮内膜症だけでなく全身のケアをしていくことが可能です。ホルモン剤での治療と合わせて行うことも多々あります。