めまいと漢方薬
めまい(眩暈)とは、自分や周囲が動いているように感じる、あるいは「ふらつく」感覚の総称です。実際に体は動いていないのに、脳が「動いている」と誤って判断してしまうことによって起こります。めまいが再び起きるかもしれないという不安感からパニック障害を引き起こしたり、吐き気によって日常生活に支障をきたしてしまう人も中にはいます。また家族や職場に迷惑をかけてしまうかもしれないと、ストレスを抱えている方も中にはいらっしゃいます。めまいが起こりやすい人は、原因を突き止めて体質改善する漢方薬がおすすめです。

めまいには大きく分けて3つのタイプがあります。
① 回転性めまい・・・天井がぐるぐる回るようなめまいで、自分、または周囲が回っているように感じることが特徴です。吐き気・嘔吐を伴うことも多く、原因は内耳(三半規管・前庭)にトラブルが起こっていることが多いです。良性発作性頭位めまい症、メニエール病などが挙げられます。
② 浮動性めまい・・・ふわふわ・揺れる感覚が大きな特徴です。ふわふわ揺れる、雲の上を歩いているような感覚。立つと不安定でふらつきがある。加齢、循環不良、自律神経の乱れ、脳の血流低下などが原因として考えられます。
③ 立ちくらみ・失神前のめまい(目の前が暗くなる) 立ち上がった瞬間にくらっとするのが特徴です。目の前が暗くなることを特徴とします。原因としては、血圧調整の乱れ、貧血、脱水、自律神経の乱れなどが挙げられます。
めまいの原因

など様々な原因によって引き起こされます。また女性ホルモンバランス変化が激しい更年期にも起こりやすいので、めまいの特徴を捉えて、体を整えていく必要があります。
めまいの一般的な治療
①内耳の問題(良性発作性頭位めまい症)・・・めまいの中でも最も多いタイプで、頭を動かした時にぐるぐるするめまいです。主な治療方法としてエプリー法・頭位治療(リポジショニング法)乱れた耳石を元の位置に戻すための、専門的な頭の動かし方を行います。理学療法(前庭リハビリテーション)平衡機能を鍛え、めまいを起こしにくくする方法などが行われます。
② メニエール病・内耳のむくみ(内リンパ水腫)・・・耳鳴り・難聴・ぐるぐる回転するめまいを繰り返すタイプです。主な治療方法としては、利尿薬(イソソルビドなど)、ステロイド、抗めまい薬などの薬物療法を中心に進めていきます。
③ 自律神経の乱れによるめまい・・・ふわふわ・不安感を伴うのが特徴です。主な治療方法としては、自律神経を整える薬、抗不安薬やSSRIなどを用いることがあります。
④ 貧血(鉄欠乏性が多い)によるめまい・・・立ちくらみなどを特徴とします。鉄剤(フェロミアなど)などを用いながら、食事改善などを図ります。
⑤ 低血糖・脱水によるめまい・・・主な治療方法としては、水分補給(特に電解質)糖質不足の調整などを行います。
⑥ 脳の病気が疑われる場合・・・極めて少ないですが、重度のめまい・しびれ・呂律が回らない場合。主な治療方法としては、MRI/CTで精査します。緊急治療が必要なケースも。

めまいの漢方薬での治療のメリット
メリットその1 西洋薬が合わない
めまいには重大な病気が隠れている可能性もあるため、起きた場合には必ず病院に受診し、原因を突き止めていく必要があります。しかし、抗めまい薬・抗不安薬・睡眠薬が合わず、眠くなりすぎる、胃が荒れる、頭が重くなるなどの副作用を起こす方も中にはいます。そのような時に漢方薬での治療がおすすめです。
メリットその2 再発防止に
めまいに漢方薬を使うことのメリットは、症状を抑えるだけでなく、めまいを起こしやすい体質そのものを整えられることにあります。西洋医学では「抗めまい薬」「吐き気止め」などが中心ですが、漢方はタイプに合わせて処方が異なります。内側のアンバランスを整えて、体質を変えることでめまいの再発を防ぐことができます。
メリットその3 その他の症状も軽くすることができる
冷え・むくみ・頭痛・生理不調・疲労・不安感・首肩こり・睡眠の質低下・胃腸の弱りなどめまいに伴う症状を合わせて改善することができます。
めまいと漢方薬
① 気虚タイプ(疲れ・食欲不振・フラフラ) 気を補い、ふらつきを改善する漢方薬 補中益気湯・六君子湯・人参養栄湯 などを中心に使用します。
② 血虚タイプ(貧血気味・生理量少ない・立ちくらみ)血を補って脳への栄養を改善をする当帰芍薬散・四物湯・十全大補湯を中心に使用します。
③ 痰湿タイプ(むくみ・重だるさ・天気で悪化)余分な水を動かして耳の中のバランスを整える半夏白朮天麻湯・苓桂朮甘湯などの漢方薬が中心です。
④ 肝気の乱れ(ストレス・緊張でふわふわ)気の巡りを整え、過緊張を緩める加味逍遙散・抑肝散などを中心に使用します。
⑤ 腎虚タイプ(加齢・慢性疲労・ふらつき)体の根本的なエネルギーを補う八味地黄丸・杞菊地黄丸などが使われます。

めまいの養生
① 睡眠の質を整える(最重要):めまいは「寝不足・睡眠の質低下」で起きやすくなります。
就寝1時間前はスマホ・PCの強い光を避けたり、ぬるめの湯に10〜15分必ず毎日浸かる。足首を温めたり、寝室を暗く&温度を一定に保つなどの工夫が必要です。女性はホルモン変動で自律神経が揺らぎやすいので、睡眠が安定するとめまいの発作頻度が大きく減ります。
② 首・肩の緊張を緩める:内耳と脳を結ぶ血流は首を通るため、首肩がこると「ふわふわ・ぐるぐる」の誘因になります。
蒸しタオルを首の後ろに当てたり、肩甲骨回りの軽いストレッチしたり血行を良くすることも必要です。デスクワーク時の姿勢をこまめにリセットし同じ姿勢でいすぎないことも大切です。枕の高さを見直す(高すぎると悪化)ことも大切です。
③ 血の巡りをよくする:血虚・貧血気味、冷えがあるとめまいが起こりやすいです。
極端なダイエットを避け、鉄+タンパク質(肉・卵・大豆)を意識して摂るようにしましょう。
④ 水の滞り(痰湿)をためない:耳の中の水が滞ると回転性めまいが起きやすくなります。
冷たいもの・甘いもの・脂っこいものを控える・適度な運動で「汗」を少し出すことも大切です。また、湿気の強い日は無理をしないで胃腸が弱っている時は消化に良いものを摂るようにしましょう。
⑤ 急な動き・頭位変化に注意(耳石系のめまい予防):良性発作性頭位めまい症(耳石がずれるタイプ)の予防に。
朝、起き上がるときはゆっくりと。低いものを取るときは膝を曲げて、洗濯物を干すなど、上を向く動作を急にしないなど日常の動作にも是非を気をつけてください。
最後に
めまいがまた再発するのではないかという不安を抱えていたり、頻繁にめまいが起きてしまうという方は、是非一度ご相談ください。体質に合わせた生活習慣のアドバイスも同時にさせて頂きます。是非めまいが起きない体質を目指していきましょう。お困りの方は、我慢せずにお気軽にご相談ください。
